AtermWM3800Rを情熱的に分解した

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鋼の錬金術師という漫画/アニメをご存知でしょうか。

ネタバレしない程度にストーリーを一言で表すと

「等価交換」という原則のもと、錬金術を駆使しながら

数々のアクシデントを乗り越えていくという

なんとも言えない表現に収まってしまうのですが、この作品中で

錬金術は「理解→分解→再構築」という(正確な表現忘れたけど)言葉が出てくるのです。

この理解・分解・再構築という言葉、よーく見てみると「守→破→離」と同じではありませんか?

これは名言の予感!

ということで、何か分解して錬金術師の心を会得しようと思い立ちました。

分解するモノと分解されるモノ

さて、さっそく分解を始めたいのですが、

その前にものごとの要諦をキチンとおさえておかなければなりません。

それは

世の中の人が「強者と弱者」の2つに分けられるように、

「分解するモノとされるモノ」の2つに分けられる

ということ。

この視点を携えつつ、

身の回りに分解できそうなものが無いか見渡してみます。

  • テレビ     → 分解したら怒られて(ぼくが)分解される
  • Nintendo DS → 分解したら怒られて(ぼくが)分解される
  • パソコン   →  分解しt(略
  • AtermWM3800R → 今使ってないから分解しても怒られないし(ぼくは)分解されない

ということで、晴れてAtermWM3800Rを分解することに決まりました。

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長生きして楽しく余生を過ごすためにも

パートナーと共有するアイテムを分解することはだけは避けましょう。

そして、分解へ

さて、分解作業に入りましょう。

と、ここであなたがさっそくドライバーを手にしたとしたら、あなたはとんだド素人です。

”分解”の「ぶ」の字もわかっていませんし、

”dismantle(分解する)”の「d」の字もわかっていません。

分解というのはとても神聖なもの。

荘厳たる雰囲気の中で行われるべき儀式。

まずは入念な準備が必要です。

少々お時間を下さい

準備できました。

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Aterm子ちゃんです。通称タム子。

もうお分かりですね?憧れの「和室で”あーれーーー~~”」ってやつです。

大事なことなので二度言いますが、分解は神聖な儀式です。

では、行きましょう!

発声が大切です!

ちょっと拒否感を出しているタム子にむかって言いましょう!

みんなで息をそろえて!

「よいではないか!よいではないか!!」

リピートあふたみー!

「よいではないか!よいではないか!!」

帯をつかみます

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静かに、でも情熱的に帯を引っ張り始めます。

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ちょっと楽しい気持ちになります。

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「あーれーーー」という声が聞こえてきます(脳内で)

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やばい

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首が変な方向に!

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帯を強く引きすぎました。タム子も苦しそう

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もうちょっと!頑張って!!

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ヘッドバンクしまくってます。タム子は古風な見た目と裏腹にろっけんろーる

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恍惚とした表情

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最後の一引き!

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帯が取れました。分解も完了しました。

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見た目がなんか閲覧注意な感じになっちゃってます。。

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分解に必要な物

AtermWM3800Rを分解するにあたり、Y型のドライバーが必要となります。

裏側3か所がねじ止めされているのですが、

下記画像の通りねじ山がY字になっているのです。普通のドライバーでは回すことができません。

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ねじをとって、マイナスドライバをやさしく差し込みながら

カバーを外していきます。

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外れました。

表面のLCD(液晶)と基板とが、フレキシブルケーブル(通称フレキ)で

接続されています。ペラペラのプラスチックの中に、金属の線が数本入っているのが見えるでしょうか。

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基板の右下部はGND(グランド=アース)に接続された金属の板でシールドされています。

この金属板が無いと外乱(外部からの電磁波など)の影響を受けるのだと思われます。

このあたりの工夫は、数GHzという高周波帯域を使う通信機器ならでは、でしょうか。

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基板は片面実装で、回路の密度もそれほど高く有りません

(ICや抵抗、コンデンサなどの部品を両面に実装する両面実装の場合、

片面実装よりもコストが高くなる)。

裏側にはLSIなどのチップが一切実装されていません。

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基盤の裏にある黒いシートを外すと

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バッテリーが出てきました。

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回路の主要部品

基板に搭載されているチップを見ていきましょう。

IMG_2660 - コピー

1.BECEEM BCSM352

メインのチップ。

WiMAX通信を行うためのチップです。

BECEEMは米国の4G LTE、WiMAX通信用半導体の設計会社。

2010年にブロードコム社に買収されています。

2.SK hynix H5MS1G62BFR

メモリー(DDR SDRAM)です。

データシートを見ると1073741824 bitと書いてあるので

1Gbit (つまり128M Byte)ということですか。

膨大なデータ量を扱うのでしょう。

モバイル端末用に消費電力が控えめになるよう

設計されているとのこと。

https://www.skhynix.com/products/mobile/view.jsp?info.ramKind=17&info.serialNo=H5MS1G62BFR

3.SPANSION FL128SAIF00

Flashメモリです。128M bit(=16M Byte)の容量を持っています。

2のDDR SDRAMは電源を落とすをデータが消えてしまいますが、

Flashメモリは電源が落ちてもデータを保持し続けることができます。

俗にいう、”不揮発メモリ”ですね。

4.サイプレス社 CY8C3246LTI-149

PSoC(Programmable System on Chip)。

俗にいうマイコン(脳みそ)。

USBなどの通信制御機能を持っているようです。

5.BQ24192

Texas Instruments社製。

電池の充電機能を制御するためのICです。

他のICは解読不能でした。。。

まとめ

今回の分解対象は通信機器ということで、

知らないメーカーのICが使われていたり。

分野の違いでパターンの引き回しも違う気がするし、

一般教養になりました。

=====

編集後記:

再構築は失敗しました(分解しっぱなし)

トライアスロンのレースに向けて補給食をかき集め始めました。

一日一新(一日にひとつ新しいことを行う):

ルーター分解

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