[ROM]という名前の紛らわしさ。iPhoneの「容量」って何の容量??

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パソコンをちょっとかじったことのある人ならだれでも知っている

「ROM」

という言葉。

ROMはRead Only Memoryの略で、その名の通り「読み出し専用のメモリ」という意味です。

ところが、ROMなのにデータを消したり、書いたりすることが可能だったりして

混乱する混乱する場面があるように感じています。

例えばフラッシュメモリ(フラッシュROM)。

ROMとついているにも関わらず、データを消したり、書いたりできます。

消したり書いたりできるならRead Onlyじゃないじゃん!

と突っ込みたくなりますが、これはフラッシュROMが

「ROMなのにデータ消去・書き込みができる特別な存在」だと考える方が良いでしょう。

また、最近はROMというと「読み出し専用のメモリ」という意味ではなく

「不揮発性(※後述)のメモリ」という意味で使うことが多いです。

今回、自分自身のおさらいもかねてROMについて書きます。

iPhoneの「容量」はフラッシュROMの容量

身近なフラッシュROMの利用例としてスマホを取り上げます。

iPhoneやAndroid端末といったスマートフォンを購入する際に気にする要素の1つが「容量」。

iPhone6sであれば16GB、64GB、128GBという3種類のモデルがありますが

この16GB、64GB、128GBというのが「フラッシュROMの容量」を表しています。

ご存じのとおり、この容量が多いほど写真や動画や音楽を沢山保存できるし、

アプリもたくさんインストールすることができます。

特徴としては、電源を切っても記憶したデータが消えないこと。

再度電源を入れて立ち上げれば、過去に取った写真も問題なく閲覧できますね。

このように、電源を落としてもデータが消えないような性質を

「不揮発性」と言います。フラッシュROMは不揮発メモリです。

一方で、RAM(Random Access Memory;パソコンのマザーボードに刺さっている、スティック状のアレ)は

電源を落とすとデータは全て消えてしまいます。つまり、RAMは揮発性のメモリです。

RAMに関して、iPhone6sではRAM容量が2GBとなったようですが(iPhone6は1GB)、

よく使う喩えとしては机の広さ(一時的な作業場所)が2倍になったようなもの。

ROM(書架)から資料や教材を取り出して、

RAM(机の上)で作業をサクサク進める、というイメージです。

ROMの種類

マスクROM

時代をさかのぼって、フラッシュメモリが使用され始めるずっとずっと前には

ROMと言えば「マスクROM」のことを指していました。

マスクROMは、製造の段階でデータを確定させてしまいます

(電流が流れれば"1"、流れなければ"0"みたいな取り決めで電子回路を組んでしまう)。

それ以降はデータの消去・書き込みができません。まさにRead Only。

どのように使うかというと、あらかじめ開発して置いたプログラムデータをROM製造時に書き込んで、

緑色の基板に実装して、洗濯機や掃除機などの中に組み込んで使います

(プログラムとは、洗濯機で言えばボタンを押されたら洗濯層を回し始める、というような一連の処理のこと)。

・・・もしプログラムに不具合が見つかった場合、

マスクROMは書き換えができないので部品ごとまるっと交換するしかありません。

正しいプログラムが書かれたマスクROMを新しく製造して、

そのマスクROMを実装した基板に入れ替えるというような非常に面倒な作業が発生します。

スマホを使っていると「ソフトウェアのアップデート」を行うことがありますが、あれができないと思ってください。

アップデートのたびに新しいハード(電話機)に交換しなきゃいけないような状況です。

今では考えられません。。

EPROM

EPROMはElectrically Programmable ROMの略で、

「電気的にプログラム可能(書き換え可能)」なROMです。

普通の状態だと書き換えはできないのですが、

ワッショーイ!と気合を入れると(電圧を高くすると)データを書き換えれます。

ちなみにデータを消去したいときは、紫外線をガンガン照射します(UV-EPROMの場合)。

ICの上に、紫外線照射されるための窓が空いているのが特徴的です。

今ではほとんど見る機会もありません。

その他

紫外線ではなく電気的にデータ消去可能な

EEPROM( Electrically Erasable and Programmable ROM)があったり。

細かく分けると色んな種類があります。

まとめ

一言にROMといっても、Read Onlyじゃないものもあるよ、ということを書きました。

昔は本当に読み出し専用だったのが、

技術の進歩に伴って、後からいくらでも(※)データ書き換え可能となっています。

※実際には書き換え回数には制限がある。数万回といったレベル。

普段使っている分には読み込み専用なんだけど、

アプリを新しくインストールしたり、アップデートしたりするときだけ

特別に書き込みモードに入れるようなイメージです。

「ひらけゴマ!」的な合言葉を言えば、書き込みの扉が開くってな具合に。

ということで、ROM/RAMという名前に惑わされないようにしましょう。

また、不揮発性のメモリがROM、揮発性のメモリがRAMということも書きましたが

最近は不揮発性のRAMなるものも出てきて

(ROMはデータの読み書きに時間がかかるが、不揮発RAMは高速にアクセスできる)、

ROM/RAMという言葉自体が死語というか、名前と実体があわない状態が加速していってます。

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